民間教育の可能性

CROSSTALK 01

生徒の言葉を
真正面ましょうめんから
受けとめて

「昔はこうだった」は通用しない
今、講師陣にも求められる“多様性”

大学院を卒業後、アップに新卒入社した2人が、民間企業ならではの教育のやりがいや可能性についてクロストーク。変化が激しい社会において、進学塾が果たすべき役割とはなにかを、ベテランの域に達した2人が“いつもの調子”で語り合います。

TS職〈講師〉

高尾 知憲

TOMONORI TAKAO

出身地
京都府
入社年
2010年
部署・役職
研究開発教務本部 開発部 部長
担当業務
市場深耕・新市場開拓を目指した新規企画の立案と実行

TS職〈講師〉

福永 隆宏

TAKAHIRO FUKUNAGA

出身地
兵庫県
入社年
2004年
部署・役職
研究開発教務本部 中学教務部 次長
担当業務
小・中学生への高校受験向け算数・数学指導および教室運営

SESSION

01

チャレンジできる環境だけでなく「学びの本分」に忠実な会社

大学院まで学んだ2人が民間の教育機関である「アップ」を選んだ理由とは?

こんな風に改まって話をするとなると、緊張するね(笑)
できるだけ、いつも通りの感じでいきましょう。

そうですね。堅苦しくない感じでいきましょうか。今まで聞いたことがなかったけど、高尾さんはどうしてアップに就職しようと思ったの?

大学や大学院時代、田舎へフィールドワークへ行く機会や、病院の患者さんがつくるコミュニティに入る活動をしていたんですが、それらすべてが「学び」をキーワードにしていました。
単純に教科として知識を学ぶのではなく、「良い方向に変化したい」という人間の意思が集まって、お互いを刺激し合っていくカタチの「学び」に興味を持ったのが一番のきっかけですね。

素晴らしい理由だね。「学び」に興味を持つ中で、アップのような進学塾を他にも受けてたの?

他の業界の説明会などには参加しましたが、進学塾はアップだけでした。ここを選んだのは、新しいことへのチャレンジだけでなく、教育の本分に忠実だったこと。
優しく、寄り添って、きちんと学びを大切にする会社だという「まっすぐ」な印象を説明会の段階から実感しましたから。福永さんの就職の決め手は、なんですか?

僕の場合は、そもそも先生への憧れが強かったこと。正直、学校の先生でも良かったんだけど、これからの教育のカタチを考えた時に、黒板とチョークを使って指導する形態がいつまで続くのかなと感じていました。
なにかを「変えたい」と思ったとき、公教育だと難しい面が多いんだろうなと思いました。

たしかに、新しい場づくりや仕組みづくりは、公教育では受け皿として難しい面があると思います。
日本の戦後教育の特徴として、公教育と民間の塾とが子ども達の学びを補完し合いながら進めてきましたが、公教育では拾いきれないサービスや尖った部分の表現は、民間がもっとリードしていくことが大切だと感じています。

アップのような民間企業であれば、新しい教材や仕組みを導入したり、イベントを組んだりすることもできる。
特にアップは、教科指導から教養指導に至るまで、教え方のカタチは本当に様々。そこにきっと、教育のカタチを変えていくヒントがあるんだろうと思っています。

SESSION

02

面と向かっての関係性から生まれる言葉を人生の大事な選択に活かしてもらいたい

講師歴の長い2人が普段感じている「最近の子ども達の特徴」とは?

最近、子ども達と接していて感じるのは、スマホやSNSで情報が勝手に入ってくる時代だからなんでしょうけど、兎に角いろんなことを知っているということ。
とりあえず情報が先に頭に入ってきて、自分たちの頃より大人びた意見を持っている子も多いですが、あくまでも子どもは子ども。打たれ強い子がいる反面、案外、打たれ弱い子も増えていませんか?

そうですね。良くも悪くも「習い上手」という言葉がしっくりくる感じですね。普段からYouTube、インターネット、AIに頼れる環境があるからこそ、大人以上に情報収集の知識を持っている子どもも増えていることは確かです。

悩んだ時の相談相手がいろんなところにあり過ぎますからね。親でも先生でも友達でもなく、ネットやSNSで他者に尋ねるケースも増えていて…。

通っている学校や塾以外で社会との接点が生まれることも悪いことではないと思います。ただ、「どうしようもない状況をどうにかして切り抜けていく力」を付けてもらうことも、この時代の教育としては大事です。
答えのない問題に対して、自らの粘り腰で向き合っていくことの大切さをしっかり伝えたいですよね。

逃げ道がたくさんあると勘違いしている子どもや、勉強しなくても別の道があるとの意見を強く持っている子どもも増えていますしね。
昨今は「多様性」がキーワードなのかもしれませんが、人と人との会話や面と向かっての関係性から生まれる言葉を、人生の大事な選択に活かしてもらえるよう心がけたいと思っています。

子ども達にとって触れることのできる、知ることのできる、様々なオプションがあるからこそ、旧来から大切とされてきた価値観を発展させながら、生き方やコミュニケーションの方法を子ども達に提案できたらいいですね。

SESSION

03

一人ひとりが必ず持っている「素晴らしさ」を伸ばしてあげたい

多様性がキーワードとなった時代の教育の「その先」をも見据えて

先ほど「多様性」というワードが出ましたが、これだけ変化が激しく、不透明な時代にあっても、子どもの成長に寄り添う企業としてのミッションは、多様な性格や認知特性を持った子ども達が「したたかに生きていけるよう育てていく」ことだと思っています。

だからこそ、多様性は我々講師陣にも求められますよね。「昔はこうだった」とかはもう通用しませんし、成績が悪かった時にでも、どうしてその結果になったのかに対して寄り添ってあげることが大切で、怒って終わりではなくなったよね。

教える側、接する側の我々大人にも、現状や未来に対してのいろんな見識が問われている証拠でしょうね。そんな中で、指導の仕方として気をつけていることはありますか?

基本的には「褒める」という考え方で接していますよ。集団の中で優劣はあるかもしれませんが、個々にしっかり目を向ければ、一人ひとりに素晴らしいものが絶対にある。
個別面談の機会も数多く行っていますが、一人ひとりの「良いところ」を伸ばすという考えは、進路設計の際のアドバイスにも活かしています。

やっぱり、子ども達の言葉を真正面から受けとめることが大事ですよね。
学習塾は、家庭や学校とは別の「第三の居場所」として機能する場です。褒める以前にまずは認めてあげて、子ども達が一生懸命に喋ったことや感じたことをしっかり受けとめてあげることこそ、我々大人ができる「寄り添い」なんだと思います。

所属している高校受験部門で保護者面談をしていると、「もう先生の言うことしか聞かんから」と言われることもよくあります。進学塾における先生の存在価値は、ただ教科を教えるだけが仕事じゃないなと心から思いますね。

情報過多な時代だからこそ、先生と生徒という関係の「人と人とのコミュニケーション」がより大切になっていくんでしょうね。

民間の進学塾だからこそ、目的や個性など個々に合わせた指導ができますから。一人ひとり、受験する進学先もそれぞれで、得意や苦手もそれぞれです。
子ども達へ指導する我々が意識すべき「多様性」は、そんな個々への対応にこそ活かされるべきだと思います。